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事業再構築補助金が終了した今、その後継となる、建物費も出る補助金が始まりました。待ち望んでいた事業者さまも多くいらっしゃったと思います。この記事では、この補助金の解説をしていこうと思います。

事業再構築補助金の後継で、建物費も申請できる貴重な補助金です。

例えば工場建設、工場増築改修、プラント建設、研究棟、インキュベーション施設、物流倉庫建設、生産機械の導入、ホテル、レストラン、レジャー施設の増築改築、大規模なシステム構築などに利用することが可能です。

一言でいうと、新規事業を行う際に利用できる補助金です。

補助額の大きい補助金ですが、事務局が定めた新事業進出の定義に合致している必要があります。

公式サイトhttps://shinjigyou-shinshutsu.smrj.go.jp
公式要領https://shinjigyou-shinshutsu.smrj.go.jp/docs/shinjigyou_koubo.pdf
対象企業中小企業
定義の解説はこちらをクリック
補助額上限従業員数20人以下 2,500万円(賃上げ特例3,000万円)
21~50人 4,000万円(5,000万円)
51~100人 5,500万円(7,000万円)
51~100人 7,000万円(9,000万円)
補助率1/2
締切日2025年7月10日
採択発表2025年10月頃
機械装置・システム構築費①機械装置、工具・器具(測定工具・検査 工具等)の購入、製作、借用に要する経費
②専用ソフトウェア・情報システム等の購 入、構築、借用に要する経費
③①又は②と一体で行う、改良、据付け又は運搬に要する経費
建物費①生産施設、加工施設、販売施設、検査施設、作業場、その他事業計画の実施に不可欠と認められる建物の建設・改修に要する経費
②建物の撤去に要する経費
③建物に付随する構築物の建設に要する経費
運搬費運搬料、宅配・郵送料等に要する経費
技術導入費知的財産権等の導入に要する経費
知的財産権等関連経費補助事業の開発成果の事業化にあたり必要となる特許権等の知的財産権等の取得に要する弁理士の手続代行費用や外国特許出願のための翻訳料など知的財産権等取得に関連する経費
(検査・加工・設計等に係る)外注費補助事業遂行のために必要な検査等・加工や設計等の一部を外注(請負、委託等)する場合の経費
専門家経費補助事業遂行のために必要な専門家に支払われる経費
クラウドサービス利用費クラウドサービスの利用に関する経費
広告宣伝・販売促進費必要な広告(パンフレット、動画、写真等)の作成及び媒体掲載、PR 等に係るウェブサイトの構築、展示会出展、ブランディング・プロモーションに係る経費

以下5つの要件に対応する必要があります。

特に、新しく始める予定の事業が、新事業進出の定義に合致しているかどうかをまず確認して頂ければと思います。

①事務局が定めた新事業進出の定義に該当すること

付加価値額を年率平均成長率4%以上増加

給与支給総額の年平均成長率2.5%以上もしくは都道府県の最低賃金年平均成長率以上の向上

④事業場内の最低賃金を、都道府県の最低賃金より30円以上高くする

⑤両立支援のひろば(ワークライフバランス支援サイト)に、行動計画を公表

①新事業の定義とは?

下記3つの要件に全てに該当する必要があります。

新事業進出指針shinjigyou_shishin.pdf
指針の手引きshinjigyou_shishin_tebiki.pdf
1、製品等の新規性

その企業にとって新規性を有するもの。

2、市場の新規性要件

その企業にとって新たな市場であること。新たな市場とは、事業を行う企業にとって、既存事業において対象となっていなかったニーズ・属性(法人/個人、業種、行動特性等)を持つ顧客層を対象とする市場を指します。

3、売上高要件

新製品等が、総売上高の10%以上、または、総付加価値額の15%以上を見込まれる計画。

新事業進出指針を満たす例

一例を記載します。「公式の指針の手引き」該当する例該当しない例の記載がございますので、お時間にご確認いただければと思います。

②付加価値額4%以上増加

付加価値額とは「営業利益+人件費+減価償却費」と定義されております。

これを毎年4%以上向上させる計画を立てる必要があります。

③④給与支給、最低賃金要件

都道府県別の最低賃金成長率は、要領(ルールブック)に一覧表がございます。

この一覧表の成長率か、2.5%を超えれば要件を満たすため、基本的には2.5%の成長率で事業計画を立てることとなるでしょう。

⑤両立支援のひろばとは?

国が運営するワークライフバランスを推進するサイトです。このサイトの中で、行動計画を記載し、公表する必要があります。

行動計画自体は、簡素なものの為、書くだけであれば数十分くらいで対応可能な要件です。

他社の行動計画の検索からどのように記載するかの例を見ることができます。

公式サイトhttps://ryouritsu.mhlw.go.jp/index.html
他社の行動計画の検索https://ryouritsu.mhlw.go.jp/hiroba/search_int.php

審査がある補助金です

この補助金は、書類に記入し提出すれば補助金がもらえるわけではございません。

一次審査として事業計画書による書類審査二次審査として口頭審査がございます。特に一次審査が重要で、採択(補助金をもらう権利の獲得)されるためには品質の高い事業計画書を書き上げる必要がございます。

他の補助金は概ね、事業計画書に記載できる枚数制限があるのですが、この補助金がどのくらいの枚数制限になるかはまだ不明です。なお、前身の事業再構築補助金は10枚〜15枚まででした。

二次審査の口頭審査は、Zoomにて15分程度で審査を行います。確認程度の審査のため、事業計画書の内容についてきちんと受け答えができれば概ね問題はございません。

資金の借り入れを行う場合は金融機関の確認書が必要

また借入を行う場合は、「金融機関の確認書」が補助金の申請書類として必要になります。事業計画書を書き上げたのち、金融機関に事業計画書を確認してもらい、確認書の発行を受けます。金融機関の確認書の発行には、2~6週間程度かかりますので、締切日から逆算して事業計画書を完成させる必要がございます。

採択率の予想

2025年の春に新しく始まった補助金のため、まだ1回の公募も終わっておらす採択率がどうなるかは蓋を開けてみないと分かりませんが、金額も大きいため採択率はある程度低い難易度の高い補助金、具体的には、前身である事業再構築補助金と同程度の採択率になるのではないかと予測しております。

参考に、この補助金の元である、事業再構築補助金の採択率を参考に記載します。

採択率は概ね45%前後ですが、第11回、第12回の採択率はワーストクラスの26.5%でした。

現在、事業計画書の策定にはプロが多く入っているため、採択されるためには、そのプロと戦える品質の高い事業計画書を書き上げる必要があります。

(参考)事業再構築補助金の採択率

第12回26.5%
第11回26.5%
第10回48.1%
第9回45.5%
第8回51.3%
第7回51.2%
第6回50.0%
第5回46.2%
第4回44.8%
第3回44.4%
第2回44.9%
第1回36.1%

何度でもチャレンジできる

中小企業庁系の補助金は、不採択となっても再度チャレンジすることができます。審査のコメントも見ることができますので、そのコメントで評価の低かった部分をブラッシュアップし、事業計画書を良くしていってください。

また補助金申請支援を行っている専門家の意見を聞いてみることも有効です。

■MBA品質の天照経営研究所 新事業進出補助金 申請サポート

新事業進出補助金申請サポート

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投稿者プロフィール

尼崎 耕司
尼崎 耕司中小企業診断士・MBA(経営管理修士)
中小製造業、東証プライム上場オークション会社、産業振興系行政機関、人事組織コンサルティングファームを経験。法政大学にて経営管理修士(MBA)を取得後、中小企業診断士として独立開業。

東証プライム上場企業で研鑽したマーケティング戦略と施策実行、人事組織コンサルティングファームで培った人事組織領域を得意する。東証プライム上場企業にて事業企画を任されていた際は、3年間で営業利益を2倍(数億円規模)にまで伸ばすことに成功。

幹部研修、マネジメント研修、新入社員研修といった研修や人事制度構築、マーケティング戦略策定、実効性の高い現場施策から経営戦略レベルまでトータルした経営支援を行っている。

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